死なないためにブログ書く。

贅沢したいわけじゃない、ただ普通に生きるためのコスト(お金も努力も)、高すぎじゃない?

好きな小説十選と、私たちの「老後」

今回めちゃくちゃ長くなっちゃったてへぺろ

理由はわからないけれどここ数日は結構「死にたい」に傾いている。

その中で思いついたのが「人生の棚卸をしよう」ということ。

子供いないし。有名でもないし。人付き合い悪いし。

だから、私の人生を遺せるのはたぶんここぐらいだろうから。

そんなわけで始めた人生の棚卸シリーズ……と思ったらちょうどはてなでもこんなことをされていたので便乗↓↓

はてなブログ10周年特別お題「好きな◯◯10選

今回はありきたりだけど、好きな小説ベスト10を紹介していくよ。でもベスト10とは言え、正直この十作に順位は付けられないから、順不同ということで。

 

レイ・ブラッドベリ「霧笛」

※短編集の中の一つ。

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この十作に順位は付けられないとは言ったけど「たった一つ」を選ぶとすればこの作品!「 孤独 」とは何か、強く理解させられる、というか刻み込まれる。孤独そのものが発する声を、移植される。そして多分、読んだ人も同じ声で鳴けるようになる。

……というかこれ、私の記憶が正しければ小学校or中学校の教科書に載ってた気がするのよね。私と同世代のアラフォーの皆様、記憶にありません?

 

太宰治「駆込み訴え」

※以前の記事でも紹介したことあるけど、青空文庫で読めます。

太宰治 駈込み訴え

タイトルからは想像もつかないけれど、ユダが語るイエスという男の話。これをアレンジした創作落語とかあったら面白いかも(最近落語を聴くようになったの、その話もまた今度)。ユダを酒場に連れてって二人で飲み明かしたくなるくらい共感させられてしまう。

ユダは最終的に、イエスを間接的に殺したわけだけれども。

磔にはされたくないけど、こんな風に「 私、いつかこの人に殺されるかも」という予感をはらんでしまうくらい愛されてみたい。

 

池上永一シャングリ・ラ

 

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私の中の「科学的なもの」と「非科学的なもの」に対する考え方をがらりと変えた一作。キャラクターも魅力的。このブログ書くまで知らなかったけど、漫画にもなってるのね。でも個人的には小説で読んでほしいかも。キャラクターや風景を自分で想像して読んだ方がきっと面白い。

 

坂口安吾「夜長姫と耳男」、「桜の森の満開の下」、「白痴」

坂口安吾 夜長姫と耳男

坂口安吾 桜の森の満開の下

坂口安吾 白痴

私の夫と同じく新潟県出身なのね……

どの作品も、ぶっ飛んでて、でも「お、おう!」ってなっちゃうような不器用な優しさがあって。そして、美しい。

新潟の人って、そういうところある。夫が好きすぎて新潟県にまで好感を持つようになっただけかもしれないけど。

 

宮沢賢治「龍と詩人」、「農民芸術概論要綱」

宮澤賢治 龍と詩人

宮沢賢治 農民芸術概論綱要

きちんと確認したことはないのだけれど、宮沢賢治は彼自身の作品から連想されるような「 貧しい農民と、共に少しでも豊かに幸せになるべく知識などを共有しようとした『 ケンヂ先生 』 」には実際にはなれず、超が付くほどのお金持ちだった故にその努力はどこかずれていて救おうとした農民には嫌われていた、という見方もあるんだそうな。でもね、ずれているのは仕方ないよ。ネットもない時代に、超大金持ちとして育てばそりゃ最初はずれてるよ。それなら農民だって教えてあげればよかったのよ、どうずれているかを。

この二作には、今とこれからの時代に必要になる思想が詰まっていると私は考えている。この小説を下敷きに構想したSF小説を書きあげるのが、私の死ぬまでにしたいこと十選の一つです。

 

神林長平戦闘妖精雪風」シリーズ

戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫 JA 183)

自分が使っているアフィリエイトサービスのエーハチネットに無かったから、ツールのAmazon商品紹介使ってみたら、画像がでかいよー(泣)

これはアニメにもなっていて、主人公はcv 堺雅人さん。

人間はさ、もはや生物とだけではなく非生物ともコミュニケーションが必要になっているよね。Siriとか、スマートスピーカーとかさ。彼らとは、基本こちらが「命令」→彼らが実行するわけだけど、もしも一発で自分のお願いが理解してもらえなかったら彼らに伝わるように言い直さなくてはならない。それってコミュニケーションじゃなかろうか。

自分の言葉でこのシリーズを紹介するなら

「人間と、非生物との交流。戦場という、極限下での。それが描かれている作品」。

 

伊藤計劃虐殺器官

虐殺器官新版 (ハヤカワ文庫) [ 伊藤計劃 ]

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生々しくて、残酷だけども。

温かくて美しい。

夭折された方だから、作品はそんなに多くないのだけど。

もっと、もっと読みたかった。

でも、ブログは今も遺っている。もう亡くなられた方のブログのリンクを貼るルールとかちょっとわからないから「伊藤計劃 ブログ」とかで検索してもらえれば。

 

以上。碧ゴーグルの小説十選でした。

 

さて。

ここからは蛇足か、むしろ本題か。

この記事を書いていてふと思い出した。

上述の伊藤計劃さんにはもう一つ、「 ハーモニー 」というタイトルの小説がある。今現物が手元に無くて(たぶん実家)うろ覚えでの紹介になるけども。

人間を「資源」と考え、かなり厳密な健康管理が求められる世界での物語。カフェインが入っていると理由で紅茶やコーヒーすら問題視される。人々は「国家」に所属するのではなく「医療共同体」に所属する。そんな世界で、それぞれの立場であがく人々の物語が、ある。

 

いつだったか、夫も私も休日で、珍しくそこそこ早く起きられた。近所のスタバは昼過ぎには混雑するけど朝なら空いているから、ふらふら二人で行ってみた。

近くの席には、六十代後半と思われる老婦人がいて、優雅に美術書っぽいもの(洋書だったから表紙を見てもタイトルがわからず)を読んでいた。そのご婦人を見て最初に思ったのは「 優雅でうらやましい 」だけど、その後に突如

「 恐らく私たちの世代の大半はこんな老後は味わえない 」

と悟らされた。

大半が、死ぬまで働かなくてはいけない。

良くて週二日、悪ければ二週間に一日か、もっと少ないかぐらいの休日以外には長時間労働を強いられて。何ならそんなに安定した雇用もいい給料も払えないから副業までやって毎日働けと言われ。年金は少ないから体が動く限り働け、今のうちにそれが可能なように備えておけと言われ。

つまりだ。

会社を(定年で)辞めて時間ができたらやりたいと思っていたことは、親世代にはできたかもしれないが私たちには一生できない。

もう一度言う。

会社を(定年で)辞めて時間ができたらやりたいと思っていたことは、親世代にはできていたかもしれないが私たちには一生できない。

私たちは、我慢して働かされる限り「資源」でしかない。

それも、死ぬまで。

健康ですら、本来私たち自身のためであったのにいつしかより永く資源でいられるために他人に利用される。

 

こういう世の中の、新しい正解の生き方は。

社会に出るまでに死ぬまでにやりたいこととそれに必要なお金を計算し。

必要なだけ稼いだらさっさと仕事を辞め、やりたいことをやって。

それが済んだらさっさと死んでしまうというスタイルだろう。

人間は数だけならもう十分だから、生物学的遺伝子は遺すべき人だけ遺せばいい。

権力があるだけの、見も知らぬ美しくもない他人のための資源ではなく、一個の命として。

精一杯生きたい。